もみの木

昨日、もみの木の童話を思い出した。
森で、仲間たちと穏やかな日々を送っていたもみの木。
ある日、森から切り出された。
どこへ連れて行かれるのだろう?
不安な気持ちで震えるもみの木。
あるおうちへ連れて行かれた。
そこは、広くて暖かい部屋で、子供たちが嬉しそうにはしゃいでいる。
もみの木は一番いい場所に置かれて、きれいに飾りつけをしてもらった。
もみの木は嬉しくなった。
足元には、プレゼントがいっぱい置いてある。
イブの夜、家族がもみの木の周りに集まって、楽しいクリスマスのお話をしている。
暖炉の火は暖かで、皆ご馳走を食べ、幸福そう。
もみの木は、このうちに来て、なんて幸福なんだろうと思った。
クリスマスが終わった翌日も、もみの木は幸せだった。
今日も、みんなで集まって、又楽しいお話をいっぱい聞くんだ。
でも、飾りつけを取りはずされると、もみの木は部屋の外へ運ばれていった。
今度はどこへ行くんだろう?
もみの木が連れて行かれたのは、薄暗い屋根裏部屋だった。
それでも、もみの木は子供たちが迎えに来てくれるのを待っていた。
きっと明日は・・。きっと明日こそは・・・。
もみの木は、だんだん枯れていった。
もみの木は、あの楽しかったクリスマスの日より、
森で暮らしていた穏やかな日々を懐かしく思い出していた。
あの小鳥さんはどうしているだろう。。。
もう、春になって暖かい日差しが森を包んでいるんだろうな。。。
もみの木は眠っていた。
ある日、誰かが屋根裏部屋にやってきて、もみの木を外へ運び出した。
そして、もみの木は天に召されたのでした。