子供の頃

読んだ本に、こんな話があった。
明治か大正の頃、
ある田舎の農村にも文明開化の波が押し寄せ、
電気がひかれる事になった。
村でランプ屋を営んでいる男は面白くない。
「今迄さんざんランプのお世話になったくせに・・・。」
村人が電気が来るのを楽しみにしているのを見ると、
よけいハラが立つ。
「電気をひくと決めた庄屋さんのせいだ・・・。」
男は逆恨みし、
庄屋さんの家に火をつけてやろうと忍び込んだ。
持っていたのは「火打石」
石を打って火をつけようとするのだが、
湿っているのか、なかなか火がつかない。
イライラして男は思った。
「マッチを持ってくればよかった・・」
何度やっても火がつかない。
チクショー!
「古いものは、いざという時役に立たない・・!」
男は自分の言葉にハッとした。
「古いものは、いざという時役に立たない・・!」
彼はそのまま自宅に戻り、
店のランプをすべて叩き壊してしまった。
子供心に強烈に残ってる、
時代に追われたモノの、悲しいお話。