バカのカンダカ

名前はチトあやしい。
昔々、カンダカという人が居ました。
ちとアタマが弱く、子供達にまで
「バカでウスノロのカンダカ!!」
と馬鹿にされておりました。
ある日、カンダカの住む村に、
お釈迦様が通りかかりました。
カンダカは、説法の行われるお寺に出向き、
お釈迦様に尋ねました。
「私はどうすれば人からバカにされないようになれるでしょうか?」
お釈迦様は
「カンダカよ。
 あなたはこれから毎日ここを掃除しなさい。
 掃除する度「チリを払い垢を清めん」と唱えなさい」

これだけおっしゃいました。
カンダカは、お釈迦様の教えの通り、
毎日毎日心をこめてお寺を掃除しました。
毎日毎日「チリを払い、垢を清めん」
と唱えながら。
村の人がカンダカを馬鹿にしたり蔑んだりしても、
お釈迦様の教えを守り、無心に掃除を続けました。
そんな日が何日も何日も過ぎました。
いつしか、カンダカをバカにする人は居なくなり、
村人は、カンダカを見習って村中を掃除するようになりました。
そしてある日、
カンダカはハッと悟りました。
自分は、只、庭を掃除しているのではない。
己の心のチリを払い、垢を清めているのだ!

悟りを開いたカンダカは人々から尊敬され、
カンダカはお釈迦様の立派な弟子の一人になりました。