ご挨拶

渡橋専務からお話がありましたように、
一言挨拶をしてから出て行け、という事ですので、
朝礼の時間を借りまして、
私の挨拶をさせて頂きたいと思います。
非常に厳しい現況の中で会社を去るというのは、
忸怩たる想いではございますが、
決まった事ですので、従ってまいりたいと思っております。
振り返りますと、平成の初めに此処に工場を作りまして、
皆さんの中でご承知の方もいらっしゃると思いますが、
まだまだの会社の状況で、形を見れば、今のような事務所もなければ、
今朝礼を行っている第2(工場)第3(工場)も無かったわけでして、
工事・工事に明け暮れた20数年ではなかったかと思います。
その機会機会に新しい事業にトライをし、設備投資をして実績をあげていく
といった繰り返しであったように思います。
その流れが、今日この業界において
イングスが表面処理における総合メーカーである位置づけを確立出来た、
この事が、私にとりまして非常にプライドを保てるひとつではなかったかと思います。
これは、皆さんのご協力があって今日の業績を築き上げたという事で、
本当に、みなさんには感謝を申し上げると、
これ以外には何もございません。
時の流れは、非常に残酷なもので、
それぞれが節目節目で消え去っていくというのは当然の事でございます。
そういう意味を持ちましても、この3月31日をもって退社をする私にとりまして
非常にハッピーなビジネスライフであったな、という風に考えております。
まだまだ気力・体力は若いものには負けない気持ちでおります。
4月からは新たなステージで、自分自身を研鑽し、
磨いてまいりたいと思っております。
今後とも皆さんには色々とお世話になろうかとは思いますけれど、
長年のお付き合いに免じて、ご協力を賜れば有難いなと思っております。
私がイングスを創業して、変遷はございましたが今日で40年、
蒸着・物造りの業界に入って20数年、
本当に色々と思い出深いものがございます。
辞めていった人達も居ります。
本当に人の流れというものはすごいもので、
歴史というものは、こういう風にして作られていくものだなぁと、
今、身をもって体験をしているわけでございます。
私がみなさんに常に申し上げております事は、
ひとつの会社に入って、自分自身を磨いて存在感を示す、
という事そのものが、自分自身の人生を切り開くという事です。
正式な社是ではございませんが、
「我々の働きで、我々の生活を向上し、以って社会に貢献する」
これが、私の究極の仕事に対する想いでございます。
自分自身が良くならなければ何にもならないわけでして、
先ほど読んだ日経新聞のコラムに書いていましたが、
今この時代、若い皆さん方が入社をする時にアンケートをとると
70%の人が、この会社で輝くんだ、何か目標をもっていくんだと、
前向きな姿勢を言われるそうでございます。
ところが1年を経過すると、それが50%になり、
もう少し経てばそれが30%となり、
モチベーションがどんどん下がっていくそうです。
それは、自分自身にあきらめをもった瞬間にそうなるのか、
会社自体が魅力のない会社になるのか、
という事になってこようかと思います。
イングスの社員、又アルバイト、派遣の皆さん、
自分自身をしっかり見つめて、自分自身の為に仕事をしてください。
先ほど申し上げました、
「我々の働きで、我々の生活を向上し、以って社会に貢献する」
是非この事を忘れずに、このイングス丸を漕いだり押したり、
していって頂きたいと思っております。
私の唯一の自慢は、社員やアルバイト・派遣の皆さんに対して、
決して感情をむき出しにして怒った事は一度も無い、という事です。
皆さんの中で、私に怒られた記憶がある人は無いと思います。
本当に、感情をむき出しにして叱らなかったし怒らなかった、
これは、私にとってひとつの自慢かなと思っております。
これから、私にとって第2の人生を確実に歩いてまいりたい、
その中で、この事だけは忘れずにいたいと思っております。
この場で言うのは何かと思いますけれど、
私は、4月1日からは新たな会社を創設します。
新しい技術にトライして、皆さんの前にもう一度顔を出せるような、
自慢できるような形で又参画できれば嬉しいかな、とそう思っております。
皆さんも、どうかこの苦境を乗り越えて、
このイングスが世の中に存在するように、
ひとつ、頑張ってください。
私は心からそれを念じております。
イングスは永遠に発展するんだと褌を締めなおして、
或いは力瘤を込めて頑張ってくれれば嬉しいかなと思っております。
本当に今まで有難うございました。
これをもって、イングスを卒業したいと思います。
有難うございました。