残雪

この言葉を聞くと、私の中でヒットする物語がある。
子供の頃に読んだお話。
山深い村に、ある猟師が居た。
鳥や獣を捕って暮らしていた、腕のいいおじいさんだった。
「残雪」というのは、鷹だったか、鷲だったか、
羽に白い部分があるのが特徴的で、
まるで残雪のように見えるので、その名前がついた。
とても頭の良い鳥で、
おじいさんの鉄砲にも罠にも全くかからないどころか、
猟のジャマをしたりして、おじいさんは気に食わない。
いつか仕留めてやろうと虎視眈々と狙っていた。
ところがある日、その「残雪」が怪我をしているのを発見する。
おじいさんは残雪を連れて帰り、
傷の手当をし、怪我が治るまで世話をする。
プライドが高い「残雪」に餌を食べさせるのは至難の技だったが、
徐々に快復する。
そして、ある日すっかり元気になった「残雪」を大空に放つ。
大きな翼を広げ、青空を舞う「残雪」
さぁ、又、明日からお前を狙うぞ。
敵というより、良いライバルのような気持ちになるおじいさん。
山の雪と「残雪」が、目にまぶしい。