大阪人情物語

「五十日(ごとび)」
集金・支払日で忙しくなる日の事。
会社の支払いは振込みが主流だけど、
小切手を集金する会社もまだまだ健在。
集金に行くことで、得意先とコミュニケーションをしたり、
会社の経営状況を確認する、大事な作業なんだそうだ。
うちの会社にも、小切手集金の会社が数件。
殆どしゃべらず、領収書を置いていく人もあれば、
話し込んでいく人など様々。
関係ない人に自分の話を聞いてもらうと、
なんだか気持ちが楽になるらしく、
ちょっとしたカウンセリング室になっている。
(カウンター越しに立ち話をしていくだけなんだけどね)
今日は、去年5月に突然奥さんを亡くした社長さんが集金に来た。
毎月集金に来られる度に話を聞いてあげてて、
1年間、集金に来る度に奥さんの話をして涙ぐんでいたのに、
今日は新しく建てたお墓の写真を持ってきていた。
「立派なお墓ができて、奥さん喜んでいるよ」
と褒めると、本当にうれしそうに笑った。
「奥さんとラブラブだったんだもんねー」
そう言うと、
「そうよ。あんな奥さん、金のわらじを履いても見つからんヨ!」
とのたもうた。
そんなにやさしい言葉、奥さんが生きている間には、
かけてあげていないと思うけど(^^;
新しいお墓に入った奥さんが、きっと照れ笑いしているよ。
彼は、毎日お墓参りをしているそうな。
大切なものは、近くにある時はわからないけれど、
無くして初めて気が付くものなんだ。
大阪人情物語。